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vol.7 水に棲む home
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上でも下でも、水道はありがたい
BODでいえば養老の滝は問題である
 水環境といったらなにはともあれ、いちばん最初に、「BOD(Biochemical Oxygen Demand)」という言葉を覚えなければならない。BODはたとえば試験問題にだされるような、特別な知識でなく、もはや常識となるべき言葉といっていいだろう。
 BODはどれだけ水が清潔かという指標である。生物化学的酸素要求量、有機物が、つまり汚れが、水中で微生物によって分解されるときに必要とされる酸素の量。汚れていればいるほど、微生物は酸素をより必要とするわけで、じっさいに微生物を使い、20℃で5日間のあいだに減少する酸素の量を計測し、mg/1という単位で表す。
 BODは数字が多いほど、「汚れている」といえる。建設省(現・国土交通省)が発表した平成2年の一級河川の汚染状況は、ワーストワンは綾瀬川で、BODは16.5mg/l。大都市周辺では、多摩川4.6mg/l 荒川5.2mg/l、淀川2.9mg/lである。
一級河川でもっともきれいなのは、後志利別川で0.3mg/l。いわゆる清流とよばれる水は、1mg/l以下。食品を見てみよう。牛乳は約1万mg/l、みそ汁約2万、ビール5〜10万mg/l、日本酒15〜20万。液体食品はおそろしいばかりの「汚染物質」なのだ。
 そこで思い出されるのが、養老の滝である。孝行息子が山へ行くと滝から酒が流れ落ちていたという話。もしあれが現実なら、桃源郷どころか、たいへんな環境破壊となるわけである。平均すると処理場へやってくる下水のBODは150〜180mg/l、放流されるときはそれが10〜20mg/lに落ちている。養老の滝は処理以前の下水より1000倍は汚れている計算だ。
滝が酒だったら...おそろしい。
 
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山紫水明の地で上か下か、その議論の根拠とは
京都は夏暑く、冬寒い。つまり暮しにくい。しかし、水が豊かで美しかった。  上水道が先か、下水道が先か。明治の京都で議論がかわされた。当時コレラが流行した。どちらを先に作ればコレラが予防できるか。  
 両方に根拠があった。当時のドイツ衛生界の重鎮マックス・フォン・ペッテンコッフェルはこう主張していた。伝染病は細菌だけでなく、その土地の湿潤状態に起因する、というのが彼の論拠だった。病原菌は地中に入り、いっそう有毒となってのち人に感染する。したがって、下水が先である。
 上水が先だ、と主張する人々のよりどころは、かのコッホである。伝染病は単に細菌によって引き起こる。細菌の入り込む余地のない鉄管で水を送ればいい。つまり上水が先である。
 この論議はけっきょく上水派が勝利した。しかし、下水が先との主張は正論で、いちどは京都議会も採択したのだった。上水に落ち着いたのは、衛生上の理由というより、道路建設、電力確保、国家予算など他の要素により、琵琶湖から水を引く計画が採択された。つまり上水である。
 
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朝からおいしい水道水はこうやって飲む
 水道水のおいしく安全に飲む2つの方法。
 その(1)。朝いちばんの水は避ける。夜間に水道管にとどまっていた水はカナっ気やいやな臭いを発生することがある。これの対処法は簡単だ。蛇口をひねって水をいきおいよく出す。約1分間。バケツでおよそ1杯分。旅行などで1週間ほど使わなかったときは、2分、バケツ2杯分ほど。流した水は捨てないで、掃除や洗濯に使う。
 その(2)。塩素処理するときに生じるトリハロメタン。ガンの原因となる可能性があるからないほうがいい。水道水は、もしオゾン処理をしていれば、トリハロメタンは生じない。しかも、水道水に、ある、とはいっても濃度が低く、いたずらに危険視するほどではない。それでもゼロにしたければ、10分間煮沸する。トリハロメタンは高温で一時増加する。しかし沸騰状態を10分〜20分続けると、ほぼ完全に揮発する。
沸騰させるだではダメ。10分から20分続けることに意味がある。
 
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