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vol.6 健康とおいしい水 home
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page4 水道水はおいしい <高度浄水処理水>
 
01 水道水ってこんなにおいしかった?
 
 東京、葛飾区金町。江戸川沿いに広がる金町浄水場。フーテンの寅さんでおなじみの帝釈天の真隣りに位置するこの巨大な浄水場が、1日に配水する水道水は約100万立方メートル。東京都で1日に使われる20%を占める量にあたる。給水人口であらわすと250万人の水をまかなっている計算になる。
 
 この金町浄水場が配水する水道水、かつてはひどく不名誉な評価を頂戴していた。東京一まずい水! と。まずいのはなぜか。悪いの浄水場ではない。悪いのは水道水にするための原水である。金町浄水場の原水は、そばを流れる江戸川から取水している。江戸川のみならず河川のほとんどが、生活排水の流入により汚染されている。ただ江戸川の水は、原水としての条件が他の河川にくらべさらによくなかった。お隣り千葉県の生活排水の影響が少なからずあるためである。 金町浄水場
 
「水道水はつくられるものです。排水に汚された水を、飲用できるように浄水場でつくるんです」
金町浄水場の技術課長、佐藤親房さんだ。
 
「めちゃくちゃおいしい水である必要はない。少なくとも飲んだとき、違和感がなければよい。もちろん飲んで安全であることが大前提ですけれど」
 
 現在の金町浄水場の水はまずくないですよと佐藤さんは胸を張る。おそるおそるテイスティングをしてみる。うまい。違和感がないどころか、ほんとにこれが水道水かと疑わしいくらいおいしい。イヤなにおいもしない。かつての汚名はどこへやら、だ。
 
「この劇的な変化は<高度浄水処理>をほどこした水道水だからです」
 
高度浄水処理のしくみ
 
02 オゾンがトリハロメタン生成を止める
 
 <高度浄水処理>というのは、通常の浄水方法である凝集・沈殿、ろ過の工程に、オゾン処理と生物活性炭吸着処理とりいれた方法である。この新規の2工程はろ過の前に行われる。金町浄水場では、平成4年に高度浄水処理が導入された。全国では柏浄水場に次いで2番目、東京では初めての試みであった。
 
「高度浄水処理を導入した平成4年度以降、水道水に対する苦情はまったくなくなりました。誰もがみとめて下さるおいしい水道水になった」
 
 では秘密その1、オゾン処理とはどういうものなのか。金町浄水場には5機のオゾン発生装置がある。
 
「空気に高電圧をかけることで空気中の酸素はオゾンに変わります。オゾンはフッ素に次ぐ酸化力があるので、水中のかび臭物質(2−メチルイソポネオール)やトリハロメタン原因物質などを分解除去します」
 
 水道水中に含まれる発ガン性をもつトリハロメタンは、原水に含まれるトリハロメタン原因物質が消毒用の塩素と反応することで発生する。高度浄水処理でも塩素は加える。しかしオゾンでトリハロメタン原因物質をあらかじめ除いておけば、あとで塩素を加えてもトリハロメタンは発生しないのだ。
 
 オゾン発生装置でつくられたオゾンは、長さ18.1m、幅5.8m、水深6mのオゾン接触池に設置された散気管から勢いよく吹き出し、水中にいきわたる。オゾン接触池は3部屋続きの構造で、各部屋で4分間ずつオゾンと接触をし、最後にオゾンが滞留した池に6分間ためられるといった念入りな処理がほどこされる。
 
吹出すオゾン ハッチ オゾン発生器
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