東京、葛飾区金町。江戸川沿いに広がる金町浄水場。フーテンの寅さんでおなじみの帝釈天の真隣りに位置するこの巨大な浄水場が、1日に配水する水道水は約100万立方メートル。東京都で1日に使われる20%を占める量にあたる。給水人口であらわすと250万人の水をまかなっている計算になる。 |
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この金町浄水場が配水する水道水、かつてはひどく不名誉な評価を頂戴していた。東京一まずい水! と。まずいのはなぜか。悪いの浄水場ではない。悪いのは水道水にするための原水である。金町浄水場の原水は、そばを流れる江戸川から取水している。江戸川のみならず河川のほとんどが、生活排水の流入により汚染されている。ただ江戸川の水は、原水としての条件が他の河川にくらべさらによくなかった。お隣り千葉県の生活排水の影響が少なからずあるためである。 |
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「水道水はつくられるものです。排水に汚された水を、飲用できるように浄水場でつくるんです」
金町浄水場の技術課長、佐藤親房さんだ。 |
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「めちゃくちゃおいしい水である必要はない。少なくとも飲んだとき、違和感がなければよい。もちろん飲んで安全であることが大前提ですけれど」 |
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現在の金町浄水場の水はまずくないですよと佐藤さんは胸を張る。おそるおそるテイスティングをしてみる。うまい。違和感がないどころか、ほんとにこれが水道水かと疑わしいくらいおいしい。イヤなにおいもしない。かつての汚名はどこへやら、だ。 |
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「この劇的な変化は<高度浄水処理>をほどこした水道水だからです」 |
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