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vol.6 健康とおいしい水 home
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page2 水でなければならない理由1
 
不思議な不思議な物質
 
 水の異常さは筆舌につくしがたい。けっしておおげさではないのだ。自然界 にこのような存在はふたつとないといっていい。
 
その1 水、H2O
  このような小さな分子だとふつうは常温なら気体となる。メタンCH4、アンモニアNH3、窒素N2、酸素O2、炭酸ガスCO2、硫化水素H2S。分子がよく似たこれらはみんな、ご存知のように、気体だ。水が液体であることは奇妙なのだ。
   
  その2 比熱が大きい
  水を1℃あげるエネルギーで、大地を5℃、鉄を9℃にすることができる。温まりにくく冷めにくいのが水という物質である。
   
  その3 蒸発熱が大きい
  540cal/gで、エタノール200cal/g、石油90cal/g。だんとつなのがおわかりだろう。
   
  その4 さまざまなものを溶かす
  アルコールや石油に、食塩、砂糖、卵の白身などを入れてみるといい。まったく溶けないのがわかるだろう。溶液としての能力、水に優れるものはない。
   
  その5 表面張力が大きい
  表面積を小さくしようとする力が大きいことを意味し、水より大きいのは水銀しかない。
   
  その6 固体の方が液体より軽い
  どろどろに溶けた鉄の液体に鉄の固まりを放り込んだと想像する。ほとんどの人が沈むと予想されるだろう。固体のほうが液体より組織は密である。常識はそういうだろう。水は常識に反する。
 
 地球が奇跡であるという。地球を地球たらしめているのは水である。水が奇跡なのだ。
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唯一の存在
 水分子は1個の酸素原子(O)と2個の水素原子(H)が結合したものである。ここまではいいとして、このあとすこしばかり専門的な話になる。酸素原子は電子を強く引きつけるため、酸素原子は負に帯電する。反対に水素原子は正に帯電する。分子中で電子が不均等に分布していることを、分子が分極するという。
 
 水の異常性のすべての原因はここにある。水ほど大きく分極している液体分子というものはないのである。とちゅうの理屈は忘れてもいいから、最後の、水ほど大きく分極している液体分子はない、これだけを押さえておけば、あとの話が理解しやすい。
 

 水分子が結合したのが水である。水のなかで単独で存在する分子はすくなく、隣同士の分子が+と−とでたがいに引き合い、3次元の網のようにネットワークしあっている。

水の分極とネットワーク
 
 常温で液体であることも、表面張力が大きいのも、この強力なネットワークのせいである。固体が液体より軽いのは、液体時の複雑なネットワークが結晶化したとき、規則正しく並んだゆえにすきまができたからなのだ。また、よくものを溶かすのも分極しているおかげといっていい。食塩NaClは、水のなかでNa+とCl−に分かれ、すると、Na+は負に帯電した酸素原子部分を向けた水分子に取り囲まれる。Cl−は水素原子である。
 
 人の体はものを循環させなければ維持できない。それには液体が必要だ。どの液体というわけにはいかない。最良のものでなければならない。水である。これほどよくものを溶かす液体はないのだ。成人で体の60パーセントが水であるというじじつは、温まりにくく冷めにくい水が体温維持に役立っていることを物語る。発汗では蒸発熱が大きいという特長は温度調節に役立っている。
 
 水は人体にとって、最良の物質というより、存在の異常性からみて、唯一のものといったほうが適切であろう。水がなければ生命はなく、人間もありえない。
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