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3000m級の山々が連なる南アルプスの広大な山間地域から、日本一深く急峻な水深2500mの駿河湾まで、その間わずか50q、高低差2000mを一気に駆け下る安倍川。暴れ川として恐れられた川は、幾多の災害をもたらしてきた一方で、数多の恵みを与えてきた川でもある。

脆弱な地質構造を持つ大崩壊地「大谷崩」に源を発し、大量の土砂を流すことで、平野部の扇状地を形成した。安倍川下流の登呂遺跡は、弥生時代後期の稲作文化を今に伝え、以降、安倍川を中心にこの地は発展を遂げてきた。徳川家康が、山・川・海の幸が豊富に手に入るとして、この地に大いなる可能性を見いだしたように、現在も安倍川一帯は豊かな自然の資源に満たされている。広大な森林地域で作り出された清らかな水は、豊かな農作物を育み、砂礫層(されきそう)に蓄えられた伏流水は地下水や湧き水として絶えず美しい水を供給し続けている。また森林の栄養分は安倍川によって海に流れ、その養分を求めて海の生き物たちがここに集まるのだ。
地形が脆弱なればこそ、流れが急であればこそ、その恵みは多大である一方、ひとたび大雨が降れば、その被害は甚大なものだった。家康の「薩摩土手」築造以来、安倍川との“共存の戦い”は今も続いている。

源流から河口まで変化に富む安倍川50q

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