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水こそエネルギーの源泉 小水力発電の大きな可能性を探る 太陽光発電や風力発電に負けず劣らず、いま新エネルギーの一画として、着々と注目を集めている発電方法がある。それが「小水力発電」なのだ。

水あるところにポテンシャルあり

水力発電は誰にとっても耳なじみがあるが、「小水力発電」は耳慣れない言葉かもしれない。
「小水力発電と言っても発電原理は同じです。水の流れを動力にして電気に変換します。ただし規模が小さい。その定義が少々複雑なんです」と全国小水力利用推進協議会の理事、松尾寿裕さんは語る。ちなみにこの協議会は小水力発電を全国に広めるべく、2005年に研究者や市民が集まり発足した任意団体である。
「小水力発電は海外でも注目されていて、スモールハイドロパワーと称されています。世界的には最大出力量が1万キロワット以下を小水力発電とくくっているようです。日本では2007年の新エネルギー法改正を契機に、ダム式を除く1000キロワット以下を小水力と定めています」

実は世界的に統一された厳密な規定はないのだ。松尾さんいわく、国内では各地の農村や小さな町ぐるみで小規模の水力発電を設け、電気の地産地消に取り組むことを小水力発電と呼んでまず間違いないでしょう、とのこと。
「戦前まで日本では小水力発電が主流だったのです。河川や農業用水を使って、小さな発電所を動かし、エネルギーを賄っていた。しかし戦後の復興期や高度経済成長期を迎えると、大都市に大量の電気を供給するため、ダム式の大規模発電が幅をきかせるようになったのです。だから今の人たちにとって、水力発電というとダム式というイメージがあるでしょうね」

小水力は大規模水力発電に、いわば駆逐されていったのだ。それがここに来て、小水力が息を吹き返そうとしている。

日本は急峻で河川に事欠かない。山間部には小水力発電に適した河川がたくさんある。エネルギーの宝庫なのだ

地方の農地周辺には当然、農業用水路が流れている。流れは大小あるが、この力を利用しないのはもったいない

小水力発電は、ダムなど巨大建造物は必要ない。落差がある場所で、水が流れている場所の途中に、小型の水力発電機を設置するだけだ。シンプルなシステムゆえ、環境に負荷をかけない

「日本は降水量が多く、土地も都市部以外は急峻で、河川の数も多い。1級河川と2級河川を合わせると2万以上あります。市町村が管理する小さな河川も含めると3万にものぼる。小水力発電はダム式ではなく、流れ込み式または水路式なので、河川などの流れそのものをエネルギーに変換できます。
つまり日本には膨大な発電ポテンシャルがあるわけです。この事実に再注目しようというのが、小水力発電推進の原動力なんです」

基本的に2m以上の水の落差と安定的な流量を保持した河川や水路であれば、実現可能な発電方法なのだ。しかし、小さな河川や水路を管理する地域の多くが、自らの地域で有しているポテンシャルに気付いていないと松尾さんは続ける。近くを流れる水には、膨大なエネルギーが眠っているのだ。「最大出力100キロワットの小水力発電所ひとつで、約100軒分の電気を賄うことができるのです」

小水力発電ができる場所

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