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「かばた」が生む風景

使った湧水を鯉が浄化する

針江名物、子どもたちによる手製イカダの川下り。夏にはおなじみの風景

もちろん針江には、今でこそ上下水道が完備されている。しかし各家庭にある「かばた」で洗い物などに使われた湧水は、町の中心を流れる針江大川に集まる。それでもこの川の水が美しいのは、鯉などの魚が浄化してくれているおかげなのだ。
夏になれば、子どもたちの笑い声が響き渡る。廃材の発泡スチロールをつなぎ合わせた手製のイカダによる、川下りが始まるのだ。いっぽうでは川を泳ぐ鮎を狙う子どももいる。「ほら、ザリガニが獲れたよー」と駆け寄ってくる子どももいた。そのすぐそばでは、サギもまた鮎を獲物にするべく、川にザブンと飛び込んでくる。こんな光景が毎日当たり前のように見られるのが針江の町なのだ。子どもと生きものの楽園。そんな表現がぴったりの町なのである。

針江で見つけた地元の素朴な味

さすがに「かばた」のある町。美味しい水で作られた「上原豆腐店」の木綿豆腐の旨さに感動。「おさかな旭」自家製の琵琶湖で獲れた鮎の醤油煮も、鮎の滋味が濃くて後を引く。地元の名産、鮒寿司は珍味中の珍味。ついつい酒が欲しくなる。どれも素朴ながら、奥深い味、忘れられない味。

上原豆腐店

創業100年を超える老舗豆腐店。お店はご夫婦で営まれており、3代目に当たるそうだ。商品は昔ながらの木綿豆腐と油揚げのみ。 豆腐はずしりと重く、大豆の旨みがぎゅっと凝縮されている。遠方からわざわざ買いに来る人もいるほどの人気。 「かばた」をショーウィンドウかつ冷蔵庫に使っているところが針江の豆腐店ならではだ。 店を訪れた林さん、店先でパクリ。「大豆の味が濃厚で、甘みたっぷり」と大感激。(問:0740-25-2230)

おさかな旭

琵琶湖で獲れた新鮮な稚鮎を、じっくりと甘辛に煮込んだ鮎の醤油煮が買える店。鮎は旨みたっぷりで、ふっくらと柔らかく、身も骨もほろりと口の中で崩れる。これぞ漁師の味。飯の友、酒のアテに最高。日持ちもするので、針江に訪れた際はおみやげにぜひ。100gと200gの2サイズで販売している。(問:0740-25-3319)

針江の鮒寿司

針江の各家庭では、琵琶湖の名産、ニゴロ鮒を使って鮒寿司を作る。3か月塩漬けし、その後ごはんに漬けてから3か月。さらにごはんを除いて、今度は酒粕に10日から1か 月漬けこんで完成に至る。当地ではお正月には欠かせない料理である。9月中旬になると針江の小売店にも並び始めるようで、上に紹介したおさかな旭でも販売される。

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