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ウンチのゆくえを追いかけ、森ヶ崎水再生センターへ。

汚水はこうして処理される

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森ケ崎水再生センターの松田末和さん。「約13時間30分で、汚水はきれいな水になります」

訪れたのは、東京都大田区にある森ケ崎水再生センターだ。敷地面積41万5300haは、東京ドーム9つ分の広さ。1日の汚水処理能力は、約154万立方メートル。これは東京ドーム1.2杯分に相当する。まぎれもなく日本一の規模と処理能力を誇っている。手始めに同センターの松田末和さんに、最初の汚水処理工程にあたる沈砂池から案内してもらった。といっても、池らしい姿が見えない。
「臭いものには蓋じゃないけれど、防臭カバーで蓋をしています。この段階では匂うからね」
水再生センターの方々は、ヒトのウンチが流れてきているという意識は驚くほど持っていない。
「われわれにとっては、生活排水すべてが混ざった単なる汚水として見ています。ウンチどうこうとは正直考えないですね」
この沈砂池では、砂や大きなゴミなどをスクリーンで漉し取っている。その後、汚水はポンプで第一沈殿池に運ばれる。
「第一沈殿池では、約3時間かけて細かい汚れを沈殿させます」
次に汚水は反応槽に運ばれる。
「ここでは活性汚泥と呼ばれる処理汚泥の中に好気性微生物が住んでいて、それらが約6時間かけて汚れを分解します。センター内の消費電力の約半分が、微生物に空気を送るための電力なんです」

同センターの鈴木不二夫さん。「汚水浄化の原理は、沈殿と微生物というシンプルなものです」

続いて第二沈殿池へ。ここからは同センターの鈴木不二夫さんに解説してもらった。
「第二沈殿池では、反応槽で生じた塊になった汚泥を、約4時間かけて沈めます」
この段階で水はほとんど透明である。最後の仕上げとして、水は塩素接触槽に運ばれ約30分で大腸菌を減菌させ、きれいになった水を東京湾へ放流しているのだ。
「一部の処理水はさらに高度処理施設(砂ろ過施設)に運ばれ、砂ろ過をして、センター内のトイレなどの雑用水や、清掃工場の焼却灰の冷却水や雑用水として使っているんです」
森ケ崎水再生センターでは処理水全体のおよそ2%が、高度処理されているそうだ。
ウンチを含んだ汚水は、大部分は沈殿と微生物という自然の力によって浄化されていたのである。

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