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vol.13 水資源の最新発想 バーチャルウォーター
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水資源の最新発想バーチャルウォーター
1990年代初頭、ロンドン大学のJ・アンソニー・アラン教授が、バーチャルウォーターという概念をとなえた。中東は水不足の国が多い。しかし水をめぐる争いが緊迫しているようすはない。それは穀物という形で、バーチャルウォーターを輸入しているからである。
なるほどそれなら砂漠のような土地でも水の需要は緩和する。
アラン教授のバーチャルウォーターは、あるいはニュートンのリンゴだったのかもしれない、「発見」だった。中東の水事情をじょうずに説明できる以上の真理がそこに含まれていた。
バーチャルウォーターという考えを導入すれば、世界の、複雑な、水資源事情がいわばスケルトン状態でわかる。世界は、なるほどなどと膝など叩いて、いっせいにバーチャルウォーターの研究をはじめたのではないか。そのなかで、世界をふくめ先頭的なお仕事を勢力的になされているのが、われらが沖大幹教授なのだ。
いかんせん若い学問であるからじつは言葉の定義からなされなければならない。沖教授が2002 年に定義したバーチャルウォーターとはこうである。沖教授はこれをアラン教授をふくめ世界に向けて発表した。
(実際には、[投入量]、[現実投入量]、[仮想投入量]など、緻密に分類される)
「日本(輸入国)で作っていたとしたら、どのていど水資源が必要であったか」。これがバーチャルウォーターというものである。

とうもろこし=約1,900倍
とうもろこし=約1,900倍
牛=約20,000倍
牛=約20,000倍

沖 大幹(おきだいかん) 沖 大幹(おきだいかん)
東京大学 生産技術研究所 人間社会系部門教授。
博士(工学、東京大学)、気象予報士。
1987年東京大学工学部土木工学科卒業。
地球水循環システムを専門とし、気候、変動がグローバルな水循環におよぼす影響や、バーチャルウォーターを考慮した世界の水資源アセスメントなどを研究対象としている。受賞多数。バーチャルウォーター研究の第一人者である。
http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/~taikan/
 
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