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 昨年英国から中国に返還された香港。高層の建物が林立する香港島は世界的な観光地として有名ですが、地盤は固い岩盤で、雨水は地下に浸透せず、わずかな地下水源すらありません。もちろん河川も湖もありません。英国統治下の100年の間、24時間給水が行われたのは3分の1の約30年間といわれています。雨水を最大限に集水貯留して利用する、海水淡水化、中国からの分水を受けるなどさまざま苦労を重ねてきましたが、そのひとつに、トイレ用水の海水利用があります。

 
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海水利用がこの100万ドルの夜景を支えている。
1965年から ビル建設法により水洗トイレ用配管は耐塩性材質となり、海水を利用するように なりました。水道とは別系統の配水管ネットワークとポンプ所を備えた海水給水施設がすべての区域にわたっており、この海水利用により香港全体の一日平均配水量の 約15%が節減されているといいます
   
 
 
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急速に発展したこの都市も、水の確保は死活問題だ。
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 経済発展著しく、繁栄を誇るシンガポール。この国の経済基盤にとって、水問題はアキレス腱のようなものです。日本の淡路島とほぼ同じ広さの島に人口約304万人、人口密度は世界第3位ですが、川も森林もないこの国には全部で14の小規模なダムがあるだけです。年間配水量の約6割(1989年)は、隣国マレーシアのジョホール州からパイプラインによって輸入しています。

 マレー半島南端に位置するシンガポールは、北方を狭いジョホール海峡をはさんでマレーシアと接しています。経済発展に伴って水需要が急激に伸びたため、シンガポールでは水源増加を図りました。シンガポールの浄水場で浄化した水の一部をジョホール州に対して輸出もしています。
   
 
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 218万人の住民と200万人の昼間流入人口を抱えるパリ。この都市の上水道は地下水が60%、表流水が40%です。地下水はパリから150キロ離れた水源から処理なしで送水し、表流水はセーヌ川やマルヌ川の水を浄化して使用しています。フランスの水道事業の数は15,000、うち4.300の事業が民間会社に業務委託されており、民間会社5社で全国民の約65%に水を供給しています。パリ市の水道は、浄水部門はパリ市と民間会社2社の3者が設立した会社が運営、配水はセーヌ右岸と左岸を2社が別々に受け持っています。

 
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フランスでは約65%の水が、民間会社によって供給されている。
photo:Lyonnaise des
eaux-dumez
右岸を受け持つCGEは、7,500以上の市町への供給のほか、社員15万人で下水道・清掃・エネルギー供給事業なども行っています。左岸を受け持つSLEは、フィリピンのマニラやインドネシアのジャカルタなどの水道事業にも、現地のローカル企業とタイアップするかたちで参画しています。
   
 
 
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イスラエル北部 ガリラヤ湖
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 周囲を砂漠と海に囲まれ、ヨーロッパとアジア、アフリカを結ぶ細い陸橋のような形をした地域がイスラエルです。南北に長いこの国は、北部は水に恵まれていますが、南部の砂漠では常に水が不足していました。しかし、その間の距離は数十キロから数百キロ程度しかありません。しかも、北部にはガリラヤ湖という水瓶があり、周辺から流出してきた雨水を一時蓄えることができます。

何とかして南部にこの水を運ぶことができないだろうか…。これを可能にしたのが網の目のように張りめぐらされた国営水利用施設の建設です。この施設によって、イスラエルでは水資源の90%近くを有効利用できるようになりました。日本は約30%ですから、驚異的な数字です。いまや灌漑計画や設計技術、灌漑機器類の輸出はこの国の経済を支える重要な産業のひとつとなっています。
   
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