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蛇口をひねれば、いつでも安心して飲める水がじゃんじゃん出てくる。そんな恵まれた環境にあるせいか、日本人の節水意識は低きにどんどん流されている。
はっきりいって、日本ほど水不足の危機に直面している国はないのにだ。現在、日本人1人が1日に使用する水の量を知っているだろうか。320リットル(国土交通省水資源部より平成17年度データ)。これは昭和30年代の使用量に対して約2倍強の量だ。
ちなみに使用の内訳をいうと、お風呂に24%、トイレに28%、炊事に23%、洗濯に17%、その他に8%使っている(図1)。お風呂や洗濯に全使用水量の4割以上も使うのは、日本人が世界随一の清潔志向の民族だからだろう。1日の平均使用量320リットルから換算すると、毎日約130リットルもの水を身だしなみに使っていることになる。
図1 【一般家庭では水をこう使っている】 |
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意外にもトイレに一番水を使っている。風呂と洗濯という清潔のために4 割以上を使うのは日本人ならでは(参考資料:東京都水道局より)
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日本は幸いにして年間の平均降水量が多い国である。年間約1800 の雨が降る。これは世界の年間平均降水量の約2倍にあたる。しかし、この数字だけで水資源に恵まれた国だと安心するのは、あまりにもあさはかである。1人あたり、どれだけの水が使えるか計算するには、国土の広さと人口のバランスをふまえた上で算出しなければならない。
するとどういう数字がはじき出されるか。どうかぞっとしてほしい。
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図2 【国民1 人あたりの水の持ち分】 |
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雨水など、生活水として再生可能な水を1 人あたり1 日換算した場合、
どれくらい保持しているかをあらわしている表だ。これはあくまで |
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日本人1人あたりの水資源量は、世界と比較すると、82番目にまで後退する(図2)。
じつは日本という国は、雨は多いが水資源に乏しい国なのだ。
NPO法人Waterscape が算出した数字によれば、日本での1人あたりの水使用量が、
世界で何位にランクインされているかご存じだろうか。
さあ、頭の中でドラムロールでも鳴らしてから読みすすめてほしい。ドロドロドロドロ……。
図3 【1 人が1 日でこれだけ使用している】 |
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日本は世界的に見て、水の消費量は4 位。
1 人あたりの水の持ち分は、かなり下位だというのにだ。大丈夫か、日本。
(参考資料:NPO 法人Waterscape より)
※国土交通省水資源部は、日本人1 人あたりの1 日の水使用量を320 リットルと発表しているが、
NPO 法人Waterscape によれば375 リットルという試算がなされている |
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ジャジャン! なんと4位なのである(図3)。このバランスの悪さはどうだ。
日本は貯水技術に優れているとはいえ、ちょっと油断しすぎである。
この事実をふまえた上で世界の現実に目をやってほしい。
世界には約12億人もの人が、安全な水を飲めないでいる事実。
そして毎年、水不足と水質汚染によって、400万人が命を失っている事実。
これは8秒に1人が水が原因で亡くなっている計算だ。
このことを思えば、われわれ日本人が、よく洗われた髪と体で、
真っ白いシャツを着て、いくら清潔を気どっていても、なんだか恥ずかしく思えてくる。
そう思わねばならない。
本誌の表紙を見てほしい。スイカの実が欠けている。
これは現在の地球上の渇水状況をあらわしたつもりである。
そして今度は裏表紙に目をやってほしい。そう、このままでは写真のスイカのように、
地球の水不足はどんどん深刻化していくいっぽうだ。
地球上にる水はほとんどが海水だ。すべての水を2リットルのペットボトルに置き換えるとすると、使用できる淡水は1滴にもならない量なのだ。いかに水が貴重であるか。
まずは、320リットルを300リットルにでもいい、使用する水を減らす工夫をしてみようではないか。みんなの節水の心が集まれば、スイカはふたたび満たされた実に少しずつなっていくはずである。 |
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