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vol.10
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  水は必要で重要なものです。僕の場合、料理に使う水は純水のみ。このあいだも調べてもらったけれど不純物が限りなくゼロに近い。浄水器を使って作るんですが、店では飲み水としても調理に使っています。
 不純物があると素材の色が変わるからダメなんです。純水だと青は青、赤は赤くなります。料理人にとってはそうあってくれないと困ります。でしょ。不純物があれば素材に付着するでしょう。すると味だってよくはならない。純水だからこそ味をコントロールできるんです。コンソメなどスープを取るのも純水。濁りのない透明なスープが得られますよ。
 料理人ならではの技術をご紹介しましょう。
 野菜にどうやって自分の思い通りの味をつけるか。ダイコン、ニンジン、なんであれ、モノの持っている水分をいったん出す。出し方はこうです。軽く塩をする。それだけでも水分が出るんですが、鍋などの容器のなかで蒸し煮をする。汗をかかせるんです。これはフランス語で「エチベ」という技術です。しかし汗のなかには、余分な水分が多いけれど、もちろん素材の旨みもある。これはどうする?
 ご心配無用。旨みを無駄にはしません。熱で水分だけを蒸発させるんです。焦がしてはダメですよ。だからこのあたりはプロの腕ということになる。すると残っているのは旨みだけになるでしょう。そして飛ばした水分の量だけ、液体にした加えたい味を加える。
 料理人は水をそのくらいデリケートに扱っています。

◆ささがわ こうじ   年生まれ。華麗
な経歴をへて「自分の思いどおりの味」を味わって欲しく代々木上原に「プティバトー」出店。良心的な価格でとびきりのフランス料理が味わえる。注目の料理家だ。
(下図)シェフの印象通り、芯がしっかりしていて、その割に軽やか。創意工夫がずいしょに光り、フランス料理を食べているだいごみを堪能できる。
 
Petit Bateau 
03-3485-9928
 

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